洋ラン便利サイトの紹介 -OrchidRoots-

今回ご紹介するのは、RHSやKEW同様に多様している便利サイト、OrchidRootsです。NPOによって運営されているサイトですが、非常に便利で、皆様も写真を投稿するなどで参加できるサイトですので、ぜひ活用してみてください!

OrchidRootsはランの原種、交配種について、KEWやRHSで検索できる情報などを集約し、包括的に、理解しやすい形で紹介してくれるサイトです。交配の系統図や、原種の割合など、統計的な情報を得ることも出来ます。受賞歴などの情報を除けば、OrchidWizやWildcattなどのデータベースと似たような使い方ができます。



まずこちらがトップ画面です。早速たくさんの蘭の写真が表示されています。ここは毎回ランダムで表示されます。
ヘッダー部分、または画像の直上にある検索ボックスに調べたい種名を入力して検索します。


種(交配)の情報を調べる


OrchidRootsでは、原種も交配種も調べ方に違いはありません。トップページにある検索ボックスから調べることが出来ます。
試しにCattleya intermediaと入力して検索します。(“検索”ボタンはありません。Enterキーを押すと画面が推移します)




こちらが検索結果です。

検索結果が1件ではないことがわかります。OrchidRootsはいわゆる‘あいまい検索’が可能なため、“Cattleya intermedia”の文字列に近いものから複数の結果が表示される場合があります。この点、多少のスペルミスであれば検索に影響してこないので便利ではあります。

今回は検索したかったCattleya intermediaのほか、Cattleya IntermedoriiやCattleya Intermedietteなど似た名前の候補が表示されています。種名の左にscoreという欄がありますが、この値が高いほど検索文字列に近い結果と言えます。

結果の詳細は青く表示された部分をクリックすると表示されます。


★最新の未登録交配も載ってる!しかし…
RHSの記事でもご紹介したように、ランの交配はRHSが一手に管理していますが、世の中にはまだ登録されていない交配種がたくさんあります。基本的には新しい交配を作っても、開花してからの登録となるので、未登録の状態で流通することはよくあります。OrchidRootsのスゴイところはそんな未登録交配の写真も見れてしまうところです。OrchidRootsに掲載されている写真はサイト上での直接の投稿のほか、Facebookページ‘BlueNanta’でも投稿できるようになっているため、まだ未登録の交配を咲かせた方が投稿することで、最新種交配種の写真までみれてしまうというわけです。しかし、写真には注意が必要で、一部には“ほんとに~??”と思ってしまう信憑性に疑いのあるような写真も見受けられますから、気をつけてください。

下はCattleya Brazilian JewelとCattleya intermediaの交配で、まだ未登録とされています。





それでは次は検索結果の見方です。


原種の詳細ページ


まず上で検索したCattleya intermediaのページを見てみます。




トップに種名が表示され、その下を見ると、Summaryタブが表示されています。
ここには分類情報と、Distribution(分布)、Synonym(異名同種)、Immediate Offspring(直の子孫)、そして投稿された様々な写真が表示されます。Distribution、Synonym、Immediate Offspringは隠れていますが、クリックすると表示されます。写真も、多い場合は一部がランダムに表示され、写真下のmore…をクリックするとさらに見ることが出来ます。

どれも文字が青くなっているところはリンクになっています。例えば、分類情報のところにあるLaeliinaeをクリックすると、Subtribe Laeliinaeに分類される属がリストアップされ、近縁属を知ることもできるなど、OrchidRootsではリンクが非常に強力なツールとなっています。

また、OrchidRootsの便利な機能の一つが子孫の検索が容易なところです。SummaryタブのImmediate Offspringをクリックすると、その種が親となって作出された交配が列挙され、その先へ進むことができます。下はintermediaのImmediate Offspringを表示したものです。多すぎて収まらないので切り取っていますが、これまでにどんなものと交配されているのか確認することが出来ます。交配名の後の”*”(アスタリスク)があるものは写真があるサインですので、交配結果を確認することもできます。



次は交配種を見てみます。


交配種の詳細ページ


下は昨年登録したRhyncholaeliocattleya Cosmo-Peonyのページです。




交配種の場合は分類やDistributionなどの情報はなく、synonym(ある場合)とImmediate Offspring、その下に写真が表示されてます。先ほどのC. intermediaのページとは違い、親の情報がたくさん掲載されています。本交配の写真の下には、親、さらにその親まで表示され、さらにその下にはこの交配がもつ原種の割合が出ています。


更に先祖を深堀りしたい場合はSummaryタブの右にあるAncestryタブをクリックすると下のようなAncestry Tree(樹形図)も見れちゃいます。(4世代上までのようです)





子孫について調べたいというときは、Progenyタブを表示します。下は数多くの大輪整形花を生み出しているCattleya HoraceのProgeny imagesを表示した画面です。
整形花のオンパレードといった感じが手に取るようにわかります。




★もう一点注意!RHSに登録されたって聞いたのにない!
OrchidRootsに掲載されている情報は多方面から収集されているので、多少のタイムラグがあります。例えば、RHSに新しい交配を登録しても、それがOrchidRootsに反映されるまでは少し時間がかかるようです。また、RHSで過去の登録情報に修正があったりしても反映されていなかったり、KEWでの分類と食い違ったりなど、必ずしもすべてのソースが一致するわけではないことを頭の片隅に入れておくといいと思います。ただ、OrchidRootsは検索が簡単で比較しやすいのも事実ですから、正確な情報を知りたいときはOrchidRootsで確認して、さらにほかのソースでもダブルチェックをするのが良いでしょう。


以上で今回のOrchidRootsの紹介は終わりとします。他にもAdvanced Searchなど便利な機能がたくさんありますが、それらはまたの機会にご紹介したいと思います。残念ながらウェブページ、Facebookページともに英語のみですが、NPO団体の運営でもあり、お金を取られたりはしません(寄付は受け付けているようですが)ので、いろいろ探ってみてください!アカウントをつくればご自身の花の写真を投稿することもできますので、ぜひ挑戦してみてください。